逆流性食道炎-食道裂孔ヘルニア-バレット食道

逆流性食道炎というのは

経験したひとならだれでもよくおわかりの病気ではないかと思いますが、胃の中の胃液と食べ物の混合物、あるいは胃液自体が食道に逆流する病気です。
本来なら、食道と胃のさかいめ、噴門部には強い括約筋があり、それによって、食物が通ったあとはキュッと閉まるようにできているわけですが、加齢などによってその括約筋が活力をなくし、ゆるんでしまうのです。

胃液は強い酸性ですから、食道に逆流すると、内腔の膜が胃にくらべて弱いので、その粘膜がただれたり、潰瘍ができたりします。
胸やけ、みぞおちの痛みなどが一般的な症状ですが、ときには心臓の病気なのではないかと感じるような、狭心症的な胸の痛みが出たりもします。また、腫れや熱が反回神経に影響するからでしょうか、声がかすれたりもします。

逆流性食道炎への施術 炎症自体は、施術によって短期でおさまりますが、逆流性食道炎におけるいちばんの課題は、ゆるんでしまった 括約筋を引き締め、広がった噴門部を再びもとのようにしっかりした状態にもどすことです。
つまり、食道と胃のさかいめのゆるんでしまった括約筋に再び活力をとりもどさせ、その部分をひき締めることです。
いっとき胸やけを抑えるだけなら1、2回施術を受ければ大丈夫でしょうが、噴門部を元の状態に回復させるというのは、そうかんたんではありません。これにはいささか回数がかかります。
医療関係の方で、いつでも自分の噴門部の映像が見られる人によれば、かなり通院されたあとでも 「いやあ、よく縮まりましたよ。通常の5倍以上開いてたのが2倍くらいになったみたいですから。ありがとうごぜざいます」
といったぐあいですから。

食道裂孔ヘルニア

食道は横隔膜の真ん中を貫いていますが、その接合部分がゆるむと、通常は横隔膜の下にあるはずの胃が、横隔膜の上にまで上がってきてしまうことがあります。これを食道裂孔ヘルニアというそうです。この場合は特に逆流性食道炎が起こりやすいようです。
そういう患者さんが来られるまでまったく知りませんでしたが、施術してくわしくなりました。
長きにわたって痛み止めだけでしのいできたような方は、逆流性食道炎のレベル自体が悪いほうへいってしまっており、やはり回数を要します。

バレット食道

これも患者さんの来院によって知り、やはりネットで調べて、一応説明できるようにはなっております。
逆流性食道炎のすべてがというわけではないのですが、胃酸の逆流がくり返されると、通常は扁平上皮という組織であるはずの食道の内側の粘膜が、円柱上皮という、胃とおなじタイプの別の粘膜組織に変性してしまうのだそうで、そういうのを、バレット食道と呼ぶというわけです。

そのまま手をこまねいていると、バレット食道ガンへと発展していく危険性があります。
欧米人の間で近年非常に増加しているそうで、日本でも食の欧米化によって増えつつあるとか。
今後当院でも増えそうな疾患です。

この方のバレット食道を実際に施術してみると、ずいぶん上のほうまでやられているなという感触はありますが、通常の逆流性食道炎と変わりなくできたように感じます。
重症の方、初診前はしかめっ面をしてとてもぐあい悪そうでしたが、その初回の施術でほとんど不快感がなくなったとのことでした。
何ヶ月間かずいぶん不快な思いをしてきたのが急に晴れたので、それはたいへん新鮮だったようで、とても驚いていらっしゃいました。

ご本人の希望でその後1ヶ月ほどかけて5、6回施術しました。
その結果、青黒い感じだった顔色もとても明るくなり、 初診の際のしかめっ面ではなく、ニコニコとよい表情でお話するようになりました。

ただ、それでなおりきったわけではないでしょう。この場合も他の逆流性食道炎と同じく、やはり開いてしまっていた噴門部の括約筋が締まるようになったかどうかがだいじですが、それよりも変性してしまった組織がもとにもどるかどうかが私にとっては大いに気になるところです。
この方は2、3カ月ほど通院された後、一度もいらっしゃってませんので、結果がどうなったのかわかりません。まあ、楽にはなったのだろうとは思ってますが。

その後、もうひとりバレットの方がいらっしゃいましたが、この方は二日間続けて2回施術を受け、それきりいらっしゃってないので今のところ結果は分かりません。
ただ2回目が終わって帰る時は、ずいぶん気持ち良さそうで、不快感が全くなくなったようなことをおっしゃってましたので、それなりによくなったのではないかと思われます。
でもほんとは、もうちょっとやって噴門部括約筋がすっかり元気に締まるようになっていてもらいたいわけです。

ただ、食事の量と時間を調節するようにアドバイスいたしましたので、その通りやっていれば OK でしょう。



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